MT4を用いたFX取引において、移動平均線は非常にポピュラーなテクニカル指標ですが、移動平均線における「ゴールデンクロス」「デッドクロス」は相場の転換を示す重要なサインです。移動平均線の中・長期線の交差で売買のタイミングを判断します。見た目にもわかりやすい売買サインで、初心者をはじめ多くのトレーダーに支持されています。
ゴールデンクロスは、相場が下落したあとに、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に突き抜け、相場が上昇に転じるサインと判断します。強い買いが意識される場面です。一方でデッドサインは、相場が上昇したあとに、短期の移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜け、相場が下降に転じるサインと判断できます。ここでは強い売りが意識されます。「ゴールデンクロスが発生したら買いエントリー、デッドクロスが発生したら売りエントリー」が基本です。
このクロスで判断するときに注意しなければいけないのが、交差の角度です。ゴールデンクロス・デッドクロスの交差の角度が緩やかであると、サインの信頼性が下がります。角度が急なほどサインの信頼性が高いと言えます。またゴールデンクロス・デッドクロスは、明確なトレンドが長く続くときは、売買のタイミングをはかるのに役立ちます。しかしトレンドがはっきりしない時期は、だましが多くなってしまいます。そのためゴールデンクロス・デッドクロスを単体で使用するような使い方はおすすめではありません。
またゴールデンクロス・デッドクロスを用いた手法には、価格の動きに対しサインが出るのが遅いという弱点があります。クロスが出現したときにはすでに価格が上がっているもしくは下がっていて、クロス発生後には価格の動きがくすぶってしまうという状況になることもあります。移動平均線の期間を長くすることでだましは回避できますが、相場の動きへの反応は遅れてしまうので、その点は気をつけなければなりません。
移動平均線によるゴールデンクロス・デッドクロスは、オシレーター系のテクニカル指標と合わせて利用するのがおすすめです。通常MT4では、オシレーター系テクニカル指標の代表格であるRSIが使われることが多いです。RSIはチャートのサブウインドウに表示されますが、同一のサブウインドウに複数のRSIを表示させることも可能です。例えば計算期間(ピリオド)が5本のRSIと14本のRSIを同じチャートに表示させることでRSIのゴールデンクロスやデッドクロスを取引に利用する事も可能です。移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスと共に使用すると取引の精度が向上することが期待できます。表示させる方法は以下のとおりです。
- RSIをサブウィンドウに表示させる。
- MT4上部のツールバーから「表示」→「ナビゲーター」を選択。
- 「インディケータ」→「オシレーター」から「RSI」を選択し、RSIのチャート上にドラッグ・アンド・ドロップする。
- 後から追加したRSIの設定画面が表示されるのでパラメーターを設定する。
- 「OK」をクリック。
設定が完了するとチャートのサブウインドウに計算期間が異なる二つのRSIのチャートが重ねて表示されます。いくつもサブウィンドウを表示するよりも見やすくなるのではないでしょうか。3つ以上のチャートを重ねて表示させることもできます。MT4では色やラインの太さを変えることでより見やすいチャートにアレンジすることもできますので、使いやすいようにカスタムしてください。
このゴールデンクロス・デッドクロスの基本を用いたEAも多く存在しますが、それだけで勝てるEAはほぼないでしょう。クロスだけのEAのほとんどは、バックテストの結果が芳しくないか、大負けとなっています。そのためたいていのEAはこれらの判断サインと合わせて、別の指標による売買サインが使われています。クロスによるトレードは相場の流れに乗る順張りですので、大きな利益が出ることは少ないですが、勝率の高いトレード手法ですので初心者にもシンプルで使いやすい手法と言えます。シンプルな手法ゆえ自作EAの練習にもおすすめです。
自作EAが難しいという方は、MT4EAの無料配布サイトで、完全無料のEAをダウンロードして利用することもできます。バックテストを行い自分にあったEAを探してみてください。